二次性高血圧
二次性高血圧とは
高血圧と診断される方の多くは塩分の取りすぎ等の生活習慣や遺伝的な要因によって発症します。これを「本態性高血圧」と呼びます。
しかし、高血圧の患者さんのおよそ10%程度が、血圧以外の病気が原因で高血圧になっていると言われています。色々な病気が血圧上昇の原因となります。これらを総称して「二次性高血圧」と呼びます。
本態性高血圧の場合は、基本的には血圧が自然に元の状態に戻るということはありません(塩分制限などで、血圧が下がることはあります。)。そのため、多くの方は血圧の薬を飲み続ける必要があります。
しかし、二次性高血圧の場合はその原因となる病気に対する治療を行うことで、高血圧や高血圧に伴う合併症が改善する可能性があります。そのため、二次性高血圧が疑われる場合はなるべく初期の段階で発見し、適切に治療することが望まれます。
二次性高血圧を疑うときは?
① 若い時に発症する高血圧(一般的に本態性高血圧は40代以降に発症することが多いです)
② 急速に進行した高血圧
③ 難治性高血圧(薬を何種類か使用しても血圧が下がらない場合)
④ 血圧変動の激しい高血圧
⑤ 明らかな電解質(血液中のナトリウム、カリウムなど)の異常を伴う高血圧
⑥ 腎臓や心臓などの臓器障害が早く進む高血圧
このような場合は二次性高血圧が疑われます。
どのような病気が二次性高血圧の原因になるか?
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原発性アルドステロン症
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褐色細胞腫
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腎血管性高血圧
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クッシング症候群
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甲状腺機能亢進症
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大動脈縮窄症
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睡眠時無呼吸症候群 など
上記のように様々な病気が二次性高血圧の原因となります。
二次性高血圧が疑われる場合は、まず血液検査などでスクリーニングを行い、必要に応じてそれぞれの病気に応じた精密検査を行う場合が多いです。
二次性高血圧の治療
二次性高血圧の治療は、原因となるそれぞれの病気に対する治療を行うことです。
例えば、原発性アルドステロン症では、副腎のそばにできた良性腫瘍がアルドステロンを過剰に産生していることが多いので、それに対する手術を行います。
睡眠時無呼吸症候群ではCPAPという治療を行うことで、血圧も下がる場合があります。
文責: 循環器内科専門医 伊藤創